高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)は、ドライバーにとって欠かせない休憩施設です。
しかし、近年、特に大型車の駐車スペース不足や長時間の滞留などにより、混雑が慢性化しています。
そこで、高速道路各社は、SA・PAの利便性向上のために、一定時間以上の駐車を有料化することを検討していると発表しました。
この記事では、有料化の背景や内容、実験結果などを紹介します。
有料化の背景
高速道路の駐車スペース不足は、大型車の利用台数の増加や、深夜割引待ちなどの長時間駐車によるものです。
全国の大型車の高速道路利用台数は、2005年から2020年で約15万台増加(17%増)しており、トラックの高速道路の利用台数増加により駐車マスが十分に確保できない現状があります。
また、2024年には、「4時間走行したら30分休憩を必ず取得する」という、いわゆる430休憩が義務付けられることになっています。
これは、ドライバーの安全運転のためのものですが、休憩施設の混雑をさらに悪化させる可能性があります。
有料化の内容
高速道路各社は、2023年2月に「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」をまとめました。
その中で、混雑する休憩施設では、一定時間(例えば2時間)以上の駐車を有料化し、休息が必要な長距離利用者は長時間(例えば10時間まで)無料にすることを検討していると明らかにしました。
また、特殊な車両(ダブル連結トラックやキャリアカーなど)のために、予約駐車マスを整備することも検討しています。
有料化の具体的な導入時期や料金については、法的整理や利用者の意見を踏まえて決定するとしています。
有料化の実験結果
高速道路各社は、有料化の前段階として、駐車場の予約制や短時間限定駐車マスの実験を行っています。
その結果は、以下のようになっています。
- 駐車場の予約制
-
NEXCO中日本は、東名の豊橋PA(下り)で、中型・大型トラックと特大・ダブル連結トラックの駐車マスを予約制にし、時間によって有料化する実験を行いました。
その結果、無料時にはほぼ満車だった駐車マスが、有料化されてからは利用台数が激減し、ガラガラになってしまいました。
また、予約したが利用しない空予約のユーザーも3割程度存在していました。
- 短時間限定駐車マス
-
NEXCO西日本は、11箇所の休憩施設で、大型車駐車マスの一部を60分以内の駐車とする実験を行いました。
その結果、短時間限定駐車マスの利用率は高く、休憩機会の変化や周辺休憩施設の混雑状況にも影響が見られました。
まとめ
高速道路のSA・PAの有料化は、混雑解消のための一つの対策として検討されています。
しかし、有料化には利用者の抵抗や近隣の施設への影響などの課題もあります。
実験の結果も、予約制は利用者のニーズに合わない可能性が高く、短時間限定駐車マスは効果があるものの、全体的な混雑緩和には不十分な可能性があります。
有料化の導入には、利用者の声や実態に応じた十分な検討が必要です。
高速道路各社は、今後も利便性向上のために、さまざまな取り組みを進めていくとしています。