性別変更とは、生まれた時の性別とは異なる性別で生きたいというトランスジェンダーの人たちが、戸籍上や身体的に自分の性別を変えることを指します。性別変更には、法的な手続きや医学的な手術が必要になりますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。
また、性別変更は、人間の生殖機能にも影響を与えることがあります。生殖機能とは、生物が自分と同じ種類の個体を生み出す能力のことです。この記事では、性別変更に関する最新の情報と生殖機能について解説します。
LGBTQ+とは
この話題に触れるなら、まずはLGBTQ+について理解しましょう。
LGBTQ+とは、性的マイノリティ(少数派)を表す言葉です。 LGBTQ+とは以下のような意味を持ちます。
- L:レズビアン(Lesbian)
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女性の同性愛者のこと
- G:ゲイ(Gay)
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男性の同性愛者のこと
- B:バイセクシュアル(Bisexual)
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自分の性別に関係なく男性と女性の両方に恋愛感情や性的感情を抱く人のこと
- T:トランスジェンダー(Transgender)
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生まれた時に割り当てられた身体的な性別と自分が認識する性別が一致しない人のこと
- Q:クエスチョニング(Questioning)やクィア(Queer)
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自分の性自認や性的指向がまだわからない・決めていない・あえて決めない人や、従来の性別や性的指向の枠に当てはまらない人のこと
- +:プラス
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これらの言葉では表現しきれない多様な性のあり方を含めるために付けられた記号
僕の知り合いの奥さんは、レズよりのバイです。夫の以外の男性とは性行為ができない(精神的に厳しい)そうです。女性とはギリできるかも?といった状態らしいです。世の中には様々は性的マイノリティーがいるってことを知ってほしいです。
性的マイノリティーについて取り上げているYouTuber『2ストリート』さんの動画も参考にしてみてください。
性別変更の方法と条件
性別変更には、大きく分けて2つの方法があります。一つは、戸籍上の性別を変える法的な手続きで、もう一つは、身体的な性別を変える医学的な手術です。それぞれに必要な条件や手順は以下の通りです。
戸籍上の性別変更
戸籍上の性別を変えるには、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(通称「性同一性障害特例法」)に基づいて家庭裁判所に審判を申し立てる必要があります。この法律は2004年に施行されて以来、戸籍上の性別変更が可能になりました。ただし、審判を受けるためには以下の6つの要件をすべて満たしている必要があります。(裁判所HPに要件が掲載されています)
- 二人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること
- 18歳以上であること
- 現在結婚していないこと
- 現在未成年の子がいないこと
- 生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
このうち、生殖能力の喪失を求める5番目の「生殖不能要件」と、体の外に現れている外性器の外観を変えることを求める6番目の「外観要件」を満たすためには、原則として性別適合手術が必要です。これら2つをあわせて「手術要件」と呼ばれます。
戸籍上の性別変更を申し立てる人は、自分の住所地の家庭裁判所に申立書や診断書などの書類を提出します。申立書の書式や記載例は裁判所HPで確認できます。申立てに必要な費用は収入印紙800円分です。
申立書や診断書などの記載内容にもよりますが、家庭裁判所調査官による調査や裁判官が直接事情を聴く場合もあります。裁判官はこうして得られた結果をもとに、性別の取扱いを変更するかどうかの判断をします。
審判が認められた場合には、申立人を筆頭者とする新戸籍が編製されます(戸籍が申立人単独のものである場合は新戸籍は編製されません)。父母との続柄欄が更正されますが、従前の戸籍における他の兄弟等の父母との続柄欄は訂正されません。
身体的な性別変更
身体的な性別を変えるには、性別適合手術を受ける必要があります。性別適合手術とは、生まれた時の性別とは異なる性別の外性器や内性器に近づけるために行われる手術です。
性別適合手術には、以下のような種類があります。
- 男性から女性へ(MtF)
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陰茎や睾丸を切除し、陰唇や膣を作る「陰茎切除術」や「膣形成術」、乳房を大きくする「乳房増大術」など
- 女性から男性へ(FtM)
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乳房や子宮・卵巣を切除する「乳房切除術」や「子宮・卵巣摘出術」、陰茎や陰嚢を作る「陰茎形成術」や「陰嚢形成術」など
性別適合手術を受けるには、医師から、
- 性同一性障害と診断されていること
- ホルモン治療を受けていること
などが条件となります。また、手術前にはカウンセリングや心理検査なども行われます。手術は一度で終わるものではなく、複数回に分けて行われる場合もあります。
手術費用は、医療機関や手術内容によって異なりますが、数百万円から数千万円かかる場合もあります。2018年からは、厚生労働省が定めた基準に沿って行われた場合に限り、健康保険が適用されるようになりました。しかし、保険適用される部分は一部であり、自己負担額は依然として高額です。
生殖機能とは?
ここで、性別変更要件にもある「生殖機能」について説明しますね。
生殖機能とは、生物が自分と同じ種類の個体を生み出す能力のことです。
生殖機能には、性的生殖と無性的生殖の2つのタイプがあります。
- 性的生殖
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異なる個体の遺伝物質を組み合わせて新しい個体を作る方法
- 無性的生殖
-
同じ個体の遺伝物質を複製して新しい個体を作る方法
人間や動物などの多くの生物は性的生殖を行いますが、細菌や植物などの一部の生物は無性的生殖を行います。
人間の場合、生殖機能は主に内性器(卵巣や精巣など)と外性器(陰茎や膣など)によって担われます。内性器は、卵子や精子という生殖細胞を作り出す役割を持ちます。外性器は、卵子と精子を接触させて受精させる役割を持ちます。受精された卵子は胚と呼ばれ、子宮内で成長して胎児となります。胎児は出産によって世界に誕生します。
性別変更のメリット・デメリット
性別変更には、メリットやデメリットがあります。それぞれについて具体的に見ていきましょう。
メリット
- 自分の心と身体の不一致や違和感を解消し、自分らしく生きることができる
- 戸籍上の性別を変えれば、結婚や就職などで有利になる場合もある
- 身体的な性別を変えれば、恋愛や性行為で自信を持つことができる
- 性同一性障害の診断書や手術証明書などを持っていれば、公共施設や交通機関で自分の希望するトイレやロッカーなどを利用することができる
- 他の性別の人との交流や理解が深まる可能性がある
デメリット
- 法的な手続きや医学的な手術には時間や費用がかかる
- 手術にはリスクや副作用があり、完全に元の性別に戻すことはできない
- 戸籍上の性別を変えても、過去の記録や証明書などで本来の性別が露呈する場合がある
- 身体的な性別を変えても、自分の希望する外見や機能に満足できない場合がある
- 家族や友人、職場や学校などの周囲の人々との関係に変化や摩擦が生じる場合がある
- 社会的な偏見や差別に直面する場合がある
性別変更に関する最新のニュース
性別変更に関して、「違憲ではないか」という裁判がありました。そのニュースについてまとめました。
最高裁が「違憲」判断
2023年10月25日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は、戸籍上の性別を変更する際に、生殖能力をなくす手術を事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定を「違憲、無効」とする決定をしました。
最高裁は、「身体的侵襲が強い手術を受けるか、性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るものだ」として規定を「憲法13条(幸福追求権)及び14条(法の下の平等)に違反する」と判断しました。この決定は、最高裁が初めて性同一性障害特例法の規定について違憲とするものであり、歴史的な意義があります。
ただし、世間からは批判の声も。
そもそも、自分にある生殖機能に違和感を持つので、トランスジェンダーは手術を切望するのではないでしょうか?もし手術をせずに公共の場を利用したとしても、その場の人たちと自分が違うことを再認識し、余計悩みが増える気がしますね。
まとめ
この記事では、LGBTQ+や性別変更について、最新の情報や生殖機能について解説しました。性別変更やLGBTQ+は、人間の多様な性のあり方を表すものですが、それにはさまざまな困難や課題が伴います。
社会全体が性別の多様性を認めて、性的マイノリティの人たちが自分らしく生きられる環境を作ることが必要です。
この記事が、性別変更やLGBTQ+に関心がある人や理解を深めたい人の参考になれば幸いです。